魔法使いの夜

期待外れ
戦闘シーンが盛り上がらない
アーチャーvs士郎を期待した身としては肩すかし
スクリプトを駆使した演出はすばらしかった

理由付けが希薄

戦いの理由が 成り行き、姉妹喧嘩 程度
戦いが終わっても成長する者も破滅する者もおらず、戦う前と立ち位置に変化がない
人間同士のドラマが発生していないのだ
何のための騒ぎだったのか とこぼしたくもなる


対決は基本的に魔術師同士で行われるわけだが
こいつらには「魔術のためなら身内も殺す」という共通認識があるので
殺しても殺されてもお互い様で恨みっこなしという 一種スポーツマンシップにも似た淡泊さがある
一方で価値観の対立は全く発生しない


立場が違うだけで精神的には似たもの同士の戦いなので
強い方が勝つだけの、単なる力比べ 技比べにしかなっていない


この手の戦いを盛り上げるには 賞品の価値をつりあげるのが常道だが
これが「魔法の秘密」とか「霊脈の使用権」とか 直感的に読者に把握できない素材である
狙う方もそれに対して執着する様子も見せず、淡々と作業的に奪い合う


これは湊斗景明や衛宮士郎の戦いを知っている身には些か食い足りない
彼らの敵は目的への障害であるだけでなく、彼らの信念を否定する存在だった
彼らが敵を打ち倒したのは強いからではなく、負けられない理由があったからだ

魔術師=噛ませ

TYPEMOONが10年かけて築いてきた伝統によって、自らの首を絞めたといえる
魔術師同士のバトル! とか言われても ムエタイだらけの武術大会(by板垣恵介)くらいのネタ臭しか感じない
シエル先輩、遠坂姉、キャスター 過去の魔術師キャラは見事に噛まれている


魔術師の基本属性が「冷静、知的、利己的」なので
燃え系主人公やら妄執系敵キャラには動機面で勝ち目がない
過去作で噛まれるのも当然である