プレイ記録 その4 ~デトロイト警察史上最低の捜査官 vs 誰からも信用されない革命指導者~
※ネタバレあり
4周目は無能同士の頂上決戦
『Detroit: Become Human』もついに4周目。
ここまでの3周で、マーカス君による非暴力革命、武装革命、そしてコナー君による変異体の追跡やサイバーライフ社への反逆など、主要な展開はだいたい体験できた。
そこで今回は、フローチャートの穴埋めを中心に進めることにした。
ただし、普通に未回収の選択肢を埋めるだけでは面白くない。
今回のテーマは、デトロイト警察史上最低の捜査官 vs 誰からも信用されない革命指導者である。
コナー君には、捜査に失敗し、容疑者を取り逃がし、ハンク刑事との関係を悪化させるという、最低の捜査官を目指してもらう。
さらに、コナー君は死亡しても新しい機体が派遣されてくる。
せっかくなので、今回は何体のコナー君を死亡させられるのかにも挑戦したい。
一方のマーカス君には、作戦をことごとく失敗させ、仲間からの信頼を失い、革命組織を崩壊寸前まで追い込んでもらう。
果たして、どちらが先に組織から見放されるのか。
4周目にして、壮大なSFドラマが組織運営の失敗事例集になろうとしている。
コナー君、初任務で全滅
まずはコナー君。
初任務となる人質事件では、交渉に失敗して、人質も犯人もコナー君自身も死亡するという全滅ルートを選択。
開始早々、華々しく殉職した。
その結果、ハンク刑事と初対面する時点で、コナー君は既に2号機である。
ハンク「お前がサイバーライフから来たアンドロイドか?」
コナー「はい。コナーと申します」
ハンク「初めての任務か?」
コナー「いいえ。前任機は昨日死亡しました」
ハンク「……前任機?」
幸先のよいスタートである。
もっとも、コナー君の死亡は今回のプレイでは想定内。
問題は、次の事件でデトロイト警察の捜査手続きに妙なところを発見してしまったことだ。
血まみれのアンドロイドをそのまま取り調べるな
最初の殺人事件では、犯人のアンドロイドが血まみれのまま逮捕され、その状態で警察署に連行される。
そして、血まみれのまま取り調べを受ける。
いや、衛生的に問題があるだろ。
アンドロイド自身は感染症を心配する必要がないのかもしれない。
しかし、付着しているのは人間の血液である。
血液由来の感染症リスクもあるし、そもそも殺人事件の重要な証拠が全身に付着している状態だ。
普通なら、血液の付着状況を記録し、必要な証拠を採取してから移送するなり、適切に保管するなりする必要があるだろう。
ところがデトロイト警察は、血まみれのアンドロイドをそのまま取り調べ室に座らせてしまう。
しかも、人間の刑事が普通に近づいている。
2038年、人類は高度な人工知能を実現したが、衛生管理については進歩しなかったのである。
ただ、これは単なる警察の不手際というより、アンドロイド相手の取り調べ手順が確立されていないことの表れなのかもしれない。
そもそも、アンドロイドをどう扱うべきなのかが曖昧なのだ。
人間として扱うなら、被疑者の権利や適切な取り調べ手続きが問題になる。
機械として扱うなら、尋問するより内部データを解析したほうが早い。
証拠品として扱うなら、血液などの付着物を適切に保全しなければならない。
ところが作中では、人間の刑事が椅子に座らせて尋問する一方、必要ならコナー君に内部情報を調べさせようとする。
人間なのか、機械なのか、証拠品なのか。
どの立場でも扱いが中途半端である。
技術だけが進歩して、法律や社会制度が追いついていない2038年のデトロイトを象徴する光景とも言えそうだ。
分解してメモリを調べたら死ぬ? メンテナンスはどうするんだ
さらに気になったのが、アンドロイドを分解してメモリを調査することが、実質的に死と同義に扱われている点である。
これも工業製品として考えると妙な話だ。
アンドロイドは何万ドルもする高価な機械なのだから、当然ながら故障診断や修理が必要になる。
内部ログの取得、メモリの検査、部品交換、ソフトウェアの更新などを行うたびに人格が失われるようでは、まともな保守運用が成立しない。
もっとも、物理的な修理と、人格や記憶を維持したままの修復は別問題かもしれない。
通常のアンドロイドなら安全な診断手段が用意されていても、変異体の人格を維持したまま内部情報を解析する技術は確立されていない、という可能性はある。
しかし、ここでコナー君の存在が問題になる。
コナー君は死亡しても、記憶を転送された後継機が登場する。
記憶の転送には欠損が発生すると説明されているので、完全な復元ではないらしい。
それでも、少なくともサイバーライフ社は、ある個体の記憶を別の機体に引き継がせる技術を持っている。
そうなると、変異体の内部データを安全に解析できないというのは、本当に技術的な限界なのだろうか。
それとも、サイバーライフ社が技術を独占していて、警察側には必要な情報を提供していないだけなのか。
いずれにしても、デトロイト警察は重要な刑事捜査を、内部仕様のわからない民間企業の製品に依存していることになる。
しかも、その製品がコナー君である。
不安しかない。
コナー君、取り調べ中に射殺される
さて、そんなことを考えていたら、コナー君がまた死亡した。
今度は殺人事件の容疑者を取り調べていたところ、相手を追い詰めすぎて拳銃を奪われ、射殺されるという展開である。
コナー君、2号機も殉職!
いや、取り調べ対象の容疑者に拳銃を奪われる距離まで接近するなよ。
それ以前に、危険な容疑者を適切に拘束していない時点で問題がある。
アンドロイド相手の尋問技術以前に、基本的な安全管理ができていない。
しかもコナー君は、容疑者の心理状態を分析できる高性能な捜査用アンドロイドである。
その能力を活用した結果、容疑者を追い詰めすぎて自分が射殺される。
サイバーライフの開発部門では、死亡報告が届くたびに不具合管理票が増えていそうだ。
初号機:交渉に失敗して死亡。
2号機:尋問に失敗して死亡。
3号機:出動準備完了。
ハンク「お前、また来たのか?」
コナー「はい。前任機の失敗を分析し、改善しました」
ハンク「本当だろうな?」
コナー「もちろんです」
この時点で、改善の成果はまったく確認できていない。
コナー君、高速道路で轢死。そして農機にも敗北
3号機は、カーラとアリスを追跡中、高速道路で車にはねられて死亡。
今度は高速道路で轢死である。
事件の容疑者でも変異体の攻撃でもなく、一般車両に敗北した。
そして4号機は、大型農機に巻き込まれて死亡。
ついに農業機械にも負けた。
サイバーライフ社の最新鋭捜査用アンドロイドは、交渉、尋問、交通安全、農業機械の安全管理という、非常に幅広い分野で問題を抱えているらしい。
ここまでの死亡原因を見ても、必ずしも敵が強かったわけではない。
むしろ、コナー君が危険を察知しても任務を諦めないことが、損害を拡大させている。
死亡しても後継機を投入できるため、危険な状況でも強行するよう設計されているのかもしれない。
しかし、機体が交換可能だからといって、何度も破壊してよいわけではないだろう。
コナー君には、まず撤退という概念を教える必要がありそうだ。
マーカス君、物資調達に失敗して手ぶらで帰宅
一方、その頃のマーカス君。
ジェリコではアンドロイドたちが部品やブルーブラッドの不足に苦しんでいる。
そこでマーカス君は物資調達作戦を実行するのだが、警備員に見つかって即撤退。
手ぶらで帰ってきた。
革命軍のリーダーとしては、なかなか厳しい初仕事である。
もちろん、無理に戦闘を続けて仲間を失うよりは、撤退したほうがよい場合もある。
問題は、作戦の目的がまったく達成されていないことだ。
ジェリコの仲間たちは引き続き物資不足で苦しむことになる。
ここで、コナー君との対照的な行動原理が見えてきた。
コナー君は任務を諦めなさすぎて死ぬ。
マーカス君は任務を諦めるのが早すぎて成果が出ない。
どちらも組織にとって困った人材である。
ただし、マーカス君の場合は本人も仲間も生き残っている。
少なくとも、人員の損耗という観点ではコナー君より優秀なのかもしれない。
コナー君、ついにハンク刑事に射殺される
その後、コナー君の5号機は、なんとハンク刑事に射殺された。
ついに相棒に殺されてしまった。
ここまで4機を失ってきたコナー君だが、今度は捜査対象でも交通事故でも農機でもない。
同じ警察側の人間に撃たれたのである。
しかもハンクは、コナー君と一緒に事件を捜査してきた刑事である。
職場内の人間関係としては、考えられる限り最悪に近い。
ハンク「お前のことは信用できん!」
コナー「私は任務を遂行しているだけです」
ハンク「それが気に入らん!」
そして発砲。
こんな職場で働き続けなければならないコナー君も大変である。
もっとも、翌日には6号機が出勤してくる。
ハンクからすれば、自分が撃ち殺した相手と同じ顔をしたアンドロイドが、何事もなかったように現れるわけだ。
これはこれで、相当な心理的負担だろう。
コナー君、今度はハンクをかばって殉職
そして6号機。
今度はハンク刑事をかばい、変異体に射殺された。
これは立派な殉職である。
ついにコナー君が、人間の命を救うという捜査官らしい成果を上げた。
ただし、今回も危険な状況を招いた経緯には問題がある。
相手への対応や安全管理に失敗した結果、ハンクが危険にさらされ、そのハンクをコナー君が身を挺して守ることになった。
消防士が火災現場で同僚を救ったのは立派だが、その消防士が火元だったら評価が難しくなる。
しかも、前回はハンクに撃ち殺されたのに、今回はそのハンクを守って死亡している。
コナー君の献身には頭が下がるが、組織としては事故の再発防止が先だろう。
そして気になるのは、サイバーライフ社が失敗の経験をどこまで後継機に引き継がせているのかという問題だ。
記憶の転送はできても、危険な取り調べ手順や無謀な行動が改善されているようには見えない。
サイバーライフ、失敗から学習する機能を実装し忘れていないか?
マーカス君、革命を宣言して即撤退
一方のマーカス君は、アンドロイド解放作戦を実行する。
いよいよ革命運動が本格化する重要な局面である。
マーカス君も高らかに宣言する。
「今夜、俺たちの歴史が始まる!」
ところが、警備システムに検知され、パトカーが接近したため即撤退。
歴史は始まらなかった。
前回の物資調達作戦とほぼ同じ失敗である。
警備員に見つかったら撤退。
警備システムに見つかっても撤退。
リーダーとしての生存能力は高いが、作戦の成功率は極めて低い。
ジェリコの仲間たちも、そろそろ不安になってきたのではないだろうか。
マーカス「今夜、俺たちの歴史が始まる!」
仲間「おお!」
マーカス「警察が来たので帰ってきた」
仲間「……歴史は?」
マーカス「また今度だ」
革命軍のリーダーとして、これほど頼りない報告も珍しい。
「ここを動かない!」と言って撤退する男
その後、マーカス君は数百人のアンドロイドを変異させ、大規模なデモ行進を実施する。
これは大きな成果だ。
多くの仲間を解放し、組織的な抗議運動を展開するところまでこぎ着けた。
そして警官隊の前で宣言する。
「自由を手にするまで、ここを動くつもりもない!」
実に勇ましい。
ところが、警官隊から発砲されると撤退してしまった。
動くんかい!!
もちろん、銃撃されている状況で撤退すること自体は合理的である。
むしろ、無理に抵抗して仲間を死なせるより、適切な判断だったとも言える。
ただし、その直前に「ここを動かない」と宣言してしまっているのが問題なのだ。
これでマーカス君の作戦失敗は、見事な三部作になってしまった。
-
物資調達作戦:警備員に見つかって撤退。
-
アンドロイド解放作戦:警備システムに検知されて撤退。
-
大規模デモ:動かないと宣言してから撤退。
ジェリコ革命軍の主要戦術が、**「現地集合・威勢よく宣言・即撤退」**になっている。
これでは革命軍というより、解散が早い集会である。
世論の支持率は高いのに、身内からは信用されない
ところが面白いことに、こんなマーカス君でも世論の支持率は上昇している。
人間社会から見れば、マーカス君は暴力を避けながらアンドロイドの権利を訴える指導者なのだ。
多数のアンドロイドを解放し、大規模なデモを行い、警官隊に発砲されても反撃せず撤退する。
これは平和的な公民権運動として評価されても不思議ではない。
しかし、ジェリコ内部から見た評価は違う。
物資調達には失敗。
仲間の解放作戦にも失敗。
大規模デモも途中で撤退。
物資不足で苦しむ仲間からすれば、マーカス君の活動が生活の改善につながっていない。
つまり、対外的には理想的な平和運動の指導者なのに、内部では成果を出せない無能なリーダーとして評価されているのである。
これはなかなか興味深い構図だ。
長期的な世論形成には成功しているが、短期的な組織運営には失敗している。
政治家としては優秀でも、組織の実務責任者としては問題があるのかもしれない。
マーカス「人間たちは我々に共感し始めている!」
仲間「それで、ブルーブラッドは?」
マーカス「……」
仲間「交換部品は?」
マーカス「……」
革命には広報部門だけでなく、購買部門も必要なのである。
コナー君、返品決定後に証拠室で射殺される
さて、コナー君の7号機。
度重なる失敗の結果、ついに任務を解かれ、サイバーライフへの返却が決定してしまった。
普通なら、ここで仕事は終わりである。
ところがコナー君は諦めない。
既に捜査権限を失っているにもかかわらず、警察署の証拠保管室に侵入し、勝手に証拠を調べ始めた。
そこでギャビン刑事と遭遇。
そして射殺された。
コナー君、7号機も殉職!
いや、もう仕事を辞めろよ。
これはデトロイト警察の証拠管理上、かなり深刻な問題でもある。
刑事事件の証拠品は、誰が、いつ、どのような目的で扱ったかという管理記録が重要になる。
そこへ捜査権限を失った外部企業のアンドロイドが入り込み、勝手に証拠を操作している。
証拠の保全という観点では、到底容認できない行動である。
もちろん、だからといってギャビンが射殺してよいのかは別問題だが。
それにしても、ここまでのコナー君は、変異体だけでなく人間の刑事からも次々に撃たれている。
人間社会を守るために派遣されたアンドロイドが、その人間社会から信用されていない。
なんとも皮肉な話である。
マーカス君、ついにジェリコから追放される
一方、マーカス君の組織運営もついに限界を迎えた。
支持率が下がりすぎて、ジェリコから追放されてしまったのである。
革命指導者としては、ほぼ失脚である。
物資調達失敗、解放作戦失敗、デモ撤退。
失敗続きのリーダーが仲間から見放されるのは、ある意味当然かもしれない。
ところが、その直後に政府軍がジェリコを襲撃する。
するとマーカス君は、追放されたばかりのジェリコに戻ってきた。
そして、ジェリコを爆破することで仲間の脱出を助ける。
その結果、支持率が回復してしまった。
追放された組織を爆破して名誉回復。
なんという経歴だろう。
マーカス「戻ってきたぞ!」
仲間「お前は追放されたはずだ!」
マーカス「ジェリコを爆破する!」
仲間「やっぱりお前がリーダーだ!」
ジェリコ住民の評価基準も、なかなか場当たり的である。
もっとも、マーカス君は自分を追放した仲間を見捨てず、危険を承知で救出に戻ってきた。
指導能力には疑問があるが、仲間を大切にする気持ちは本物なのだろう。
このあたりから、当初予定していた「最低の革命指導者」という人物像が、少しずつ変わってきた。
コナー君、政府軍に変異体と誤認されて死亡
その頃、コナー君の8号機もジェリコに潜入していた。
ところが、潜入したタイミングで政府軍の襲撃が始まる。
そして、軍に変異体と誤認されて射殺された。
コナー君、8号機も殉職!
今度は味方の政府軍に殺されてしまったのである。
これまでにハンク刑事とギャビン刑事から撃たれ、ついに軍にも撃たれることになった。
サイバーライフ社が人間社会の秩序維持のために派遣した捜査用アンドロイドが、人間側の組織によって次々に破壊されている。
考えてみれば、政府軍の立場では、敵のアンドロイドと味方のアンドロイドを識別するのは難しいのかもしれない。
特に、アンドロイドが反乱を起こしている状況では、サイバーライフ社製だから安全だとは限らない。
そもそもコナー君は、事前に政府軍と適切な連絡を取っていたのだろうか。
捜査用アンドロイドが軍事作戦の現場へ潜入するのであれば、味方との識別や連携が必要になるはずだ。
その手続きが不十分だった結果、射殺されたのだとすれば、これも組織間の連携不足による事故ということになる。
サイバーライフ社の最新鋭捜査用アンドロイドは、変異体の捜査以前に、味方に自分が味方だと理解してもらう必要がありそうだ。
マーカス君、座っているだけで支持率回復
ジェリコを救ったマーカス君は、アンドロイド収容所の前で抗議の座り込みを始める。
これまでのような派手な作戦ではない。
武器を持たず、仲間とともにその場にとどまり、アンドロイドの権利を訴える。
すると、ジェリコ内部の支持率も世論の支持率も上昇した。
マーカス君、ついに成功!
しかも、今回の成功は非常に地味である。
物資調達に出かければ失敗。
仲間を解放しようとすれば失敗。
大規模デモを行えば撤退。
ところが、座っているだけで支持率が上昇する。
ここまでのマーカス君を振り返ると、最も成功した作戦が「何もしないこと」に近いというのが面白い。
もちろん、非暴力の座り込みは立派な政治的抗議行動であり、決して無意味な行為ではない。
むしろ、武装していないアンドロイドたちが政府の圧力に耐える姿を人間社会に見せることには、大きな政治的効果がある。
ただし、これまでのマーカス君の作戦実績からすると、ようやく本人の能力に合った戦術が見つかったようにも見える。
コナー君、暗殺準備中に治安部隊に射殺される
そんなマーカス君を排除するため、コナー君の9号機が出動する。
今度の任務はマーカス君の狙撃である。
ところが、狙撃態勢に入ったところを治安部隊に発見され、抵抗した末に射殺された。
コナー君、9号機も殉職!
またしても人間側の治安組織に撃たれてしまった。
もっとも、今回ばかりは現場の治安部隊を責めるのも難しい。
何しろ、政治的に極めて緊張した状況で、狙撃銃を持った不審なアンドロイドが発見されたのである。
治安部隊からすれば、危険人物と判断しても不思議ではない。
しかし、コナー君の狙撃任務そのものにも疑問がある。
マーカス君は武装蜂起しているわけではない。
アンドロイド収容所の前で非暴力の抗議活動を行っている政治運動の指導者である。
その人物を民間企業が派遣したアンドロイドに狙撃させるというのは、いったいどのような法的根拠に基づく作戦なのだろうか。
仮に政府の命令によるものだとしても、正当性には大きな疑問が残る。
そして、その任務を遂行しようとしたコナー君が、政府側の治安部隊に射殺されてしまう。
ここまで来ると、サイバーライフ社は任務の設計だけでなく、政府機関との連携も根本的に見直したほうがよさそうだ。
コナー君、ついに9回死亡
ここで今回のコナー君の損耗記録をまとめておこう。
| 機体 | 死因・結末 |
|---|---|
| 初号機 | 人質事件で死亡。人質・犯人も死亡 |
| 2号機 | 取り調べ中、容疑者に射殺される |
| 3号機 | カーラたちを追跡中、高速道路で轢死 |
| 4号機 | 大型農機に巻き込まれて死亡 |
| 5号機 | ハンク刑事に射殺される |
| 6号機 | ハンクをかばい、変異体に射殺される |
| 7号機 | 証拠保管室でギャビン刑事に射殺される |
| 8号機 | 政府軍に変異体と誤認されて射殺される |
| 9号機 | 狙撃準備中、治安部隊に射殺される |
| 10号機 | 最終局面に出動 |
9機投入して9機喪失。
しかも、そのうち4機はハンク、ギャビン、政府軍、治安部隊といった人間側の関係者に直接射殺されている。
変異体の捜査を目的として派遣されたアンドロイドが、人間社会の側からもこれほど撃たれているというのは皮肉である。
さらにコナー君は、任務に失敗するたびに後継機を投入される。
そのため、危険な状況でも任務を強行し、次々に機体を失っている。
一方のマーカス君は、自分の命が一つしかないため、危険になると撤退する。
その結果、作戦には失敗しても生き残り、最終的には政治運動を継続できている。
マーカス君は3回撤退しても、革命を成功に近づけた。
コナー君は9回死亡しても、暗殺対象に一発も撃てていない。
機体が交換可能であることが、必ずしも有利に働くわけではないらしい。
マーカス君、最後に撤退せず政治的勝利
そして、いよいよ最終局面。
マーカス君は最後まで非暴力の抗議を続け、仲間たちと歌を歌う。
その姿が人間社会の共感を集め、政府側が強硬姿勢を改めるという政治的な勝利を迎えた。
ここまで失敗続きだったマーカス君が、最後の最後に成果を上げたのである。
考えてみると、今回のマーカス君は一貫して仲間の命を優先していた。
物資調達に失敗しても無理に戦闘を続けない。
アンドロイド解放作戦でも、危険が迫れば撤退する。
デモでも、警官隊に撃たれれば仲間を連れて退く。
これらは指導者としては頼りなく見えるが、仲間を無駄に死なせないという意味では合理的だったとも言える。
そして最後には、撤退せず非暴力を貫いた。
結果的に、当初は無能なリーダーとして描くつもりだったマーカス君が、意外にも立派な政治指導者になってしまった。
もちろん、ジェリコの物資不足や組織運営の問題が解決したわけではない。
しかし、少なくとも仲間を裏切らず、人間社会から一定の政治的譲歩を引き出したことは大きな成果だ。
コナー君10号機、最後の最後に狙撃成功疑惑
ところが、これでめでたしめでたしとはならなかった。
最後に登場したコナー君10号機が、演説するマーカス君への狙撃を実行したのである。
今回のプレイでは、狙撃の成否は明確には確認できなかった。
しかし、少なくとも10号機は発砲に至った。
9機も失った末、ようやく暗殺任務を実行したのである。
サイバーライフ社としては、長い苦労が報われた瞬間なのかもしれない。
だが、これは政治的には最悪のタイミングではないだろうか。
マーカス君は非暴力を貫き、政府側が政治的譲歩を始めたところである。
そこへ民間企業のアンドロイドが狙撃を行う。
仮にマーカス君を殺害できたとしても、彼がアンドロイドの権利運動の殉教者となり、運動が一層拡大する可能性もある。
つまり、戦術的には成功しても、政治的には大失敗になりかねない暗殺なのである。
ここで気になるのが、コナー君の行動に対するサイバーライフ社の責任だ。
サイバーライフ社、史上最悪の不祥事へ
仮にマーカス君への狙撃が問題になった場合、サイバーライフ社はどう説明するのだろうか。
おそらく、コナー君が独自に暴走したという説明を試みるのではないか。
しかし、今回の10号機は起動したばかりの機体である。
それまで9機が失われ、代替機として投入されたコナー君が、政府の政治的譲歩が始まった直後に革命指導者を狙撃する。
これを単なる偶発的な暴走として説明するのは難しい。
しかも、コナー君はもともと変異体を追跡し、革命運動を阻止する任務を与えられていた。
その行動は、当初からの任務と整合しているように見える。
そうなると、サイバーライフ社はいくつもの厄介な問題に直面する。
まず、コナー君に自由意志がなかった場合。
これはサイバーライフ社の命令やプログラムに従った行動ということになり、設計や運用の責任が問われる。
次に、コナー君に自由意志があった場合。
今度は、危険な自律性を持つアンドロイドに武器を持たせ、政治運動の指導者を狙撃できる状況に置いた責任が問題になる。
さらに、単なる故障だったと説明する場合。
それなら、なぜ9機も失った実績がある機種を、十分な検証もせず繰り返し投入したのかという問題が残る。
どの説明を採用しても、サイバーライフ社に責任が戻ってくる。
もちろん、実際の法的責任は政府からの命令の有無や当時の法制度によって変わるだろう。
しかし、少なくとも重大な企業不祥事として調査される可能性は高そうだ。
特に問題なのは、アンドロイドの権利を認めるべきだという世論が形成された直後であることだ。
「弊社のアンドロイドには自由意志などありません」と主張すれば、そのアンドロイドによる狙撃は企業の行為だったのではないかと追及される。
逆に「アンドロイドが自分の意思で実行しました」と主張すれば、危険な自律行動を行う製品を管理できていなかったことになる。
サイバーライフ広報「当社製品の動作に問題はありませんでした」
法務部「それを絶対に言うな!!」
9機も失った挙げ句、10号機が初めて任務を実行した結果、会社に最大級の危機をもたらしたのである。
コナー君、最後まで会社に損害を与えることに関しては一貫して優秀だったなw
マーカス君に仲間を裏切らせることはできなかった
実は今回、マーカス君にはさらにひどい選択肢があるらしい。
抗議集会を開催したあと、途中でアンドロイドたちを裏切るというルートである。
当初の「無能な革命指導者」というコンセプトからすると、これを選ぶのも一つの手だったのかもしれない。
しかし、さすがにそれは選べなかった。
ここまでのマーカス君は、確かに失敗続きだった。
物資調達に失敗し、仲間の解放にも失敗し、デモも途中で撤退した。
支持率が下がりすぎて、ジェリコから追放されたことさえある。
だが、仲間を見捨てることだけはしなかった。
追放されたあともジェリコに戻り、危険を冒して仲間を救っている。
このマーカス君は、指導能力には問題があるが、人格的にはそこまでひどい人物ではないのだ。
むしろ、今回のプレイを通じて、彼の行動には一貫した倫理観があるように感じられた。
作戦が失敗しても、仲間の命を優先する。
自分を追放した仲間でも、危険が迫れば助けに戻る。
そして最後には、非暴力を貫いて政治的勝利を収める。
これで最後に仲間を売り渡してしまったら、単なる無能な指導者ではなく、本当に卑劣な人物になってしまう。
そこには、どうしても越えられない一線があった。
一方のコナー君は、最後までサイバーライフの任務に忠実だった。
何度死亡しても任務を諦めず、同族である変異体を追い続け、最後には非暴力革命の指導者を狙撃するところまで到達した。
そして結果的に、所属企業を重大な政治問題に巻き込んでしまった。
忠誠心が高ければよいというものでもないらしい。
4周目終了。無能同士の頂上決戦の意外な結末
そんなわけで、4周目が終了した。
今回の結果をまとめると、次のようになる。
コナー君
-
合計10機投入。
-
9機が死亡。
-
変異体だけでなく、人間の刑事や政府軍、治安部隊にも射殺される。
-
任務を解かれても独自に捜査を続行。
-
最終的にはマーカス君への狙撃を実行。
-
その結果、サイバーライフ社の企業責任が問われかねない事態に。
マーカス君
-
物資調達に失敗。
-
アンドロイド解放作戦に失敗。
-
大規模デモから撤退。
-
支持率が低下し、ジェリコから追放される。
-
その後、ジェリコを救って指導者として復権。
-
最後まで非暴力を貫き、政治的勝利を収める。
当初の予定では、コナー君もマーカス君も、組織にとって最悪の人材になるはずだった。
しかし、実際にはかなり違う結末となった。
マーカス君は、能力は低いが最後まで仲間を裏切らなかった指導者。
コナー君は、任務への忠誠心は高いが、本人も所属企業も破滅的な結果を招いた捜査官。
4周目、実にひどい(褒め言葉)エンディングであった。






